斎藤工
斎藤工

 大河ドラマ史上最低の視聴率6.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が話題になり、不調の問題点について語られるなど、『いだてん』(NHK)についてのネットニュースはネガティブな記事ばかりだ。しかし、第二部に突入し、主人公が金栗四三(中村勘九郎/37)から田畑政治(阿部サダヲ/49)に変わるとともに、キャストも一新。第一部とはまるで違うドラマに変貌して、面白いことになっている。7月14日放送の第27話を振り返り、『いだてん』がどのように生まれ変わったかをお伝えしたい。

 アムステルダム五輪で躍進した日本五輪選手団。特に水泳では高石勝男(斎藤工/37)や鶴田義行(大東俊介/33)らが活躍し、複数のメダルを獲得する。田畑政治は次のロサンゼルス五輪に向けて動き出し、期待の天才少女、前畑秀子(上白石萌歌/19)と出会う。その頃、金栗四三は兄の実次(中村獅童/46)の死を受けて実家に帰り……という展開だった。

 第27話のタイトルは「替り目」。そのタイトル通り、放送の最後には第一部の主人公、金栗四三と第二部の主人公、田畑政治がオリンピックについて語り合い、ドラマが第二部に移行したことを強く印象づけた。

 振り返ってみれば第一部は日本がオリンピックに初参加し、スポーツが発展していく様子を描いていた。それゆえに登場人物の葛藤シーンが多く、大きな成功を収めて感動! という場面はほぼなし。全体のトーンもやや重めだった。

 第二部はスポーツ教育も進歩し、五輪でもメダル争いを演じられる時代が舞台ということもあり、選手一人一人が主役となりうるドラマになっている。特に注目すべきは、田畑が総監督として見守る水泳日本代表チームだ。スター選手として活躍する高石を斎藤工、日本人初の金メダリスト、鶴田を大東俊介と、人気実力派俳優が演じている。

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