『なつぞら』染谷将太=宮崎駿が示す「NHKの視聴率戦略」とは?の画像
※画像はNHK『なつぞら』番組公式ホームページより

 連続テレビ小説なつぞら』(NHK)が、ここのところ面白い。ヒロインのなつ(広瀬すず/21)も含めて彼女を取り巻く人々は、まさに青春の真っ只中だが、まだまだもう一段階シフトアップしそうだ。ここでは7月26日放送の第102話を振り返りつつ、今後の注目ポイントを考えてみたい。

 なつらテレビ班のアニメーターたち初の作品『百獣の王子サム』が放送開始。なつや坂場(中川大志/21)らは、葛藤を繰り返しながらもテレビ漫画制作に没頭していた。一方、役者の道をあきらめた雪次郎(山田裕貴/28)は北海道に戻り、天陽(吉沢亮/25)の元を訪れて……という展開だった。

 日本アニメの黎明期を描く『なつぞら』ではなつの成長にも注目だが、周辺人物こそ面白い。ドラマ放送開始当初から、坂場のモデルがアニメ監督、故高畑勲で、染谷将太(26)が演じる神地のモデルが宮崎駿(78)と噂され注目を集めてきた。最近はなつとイイ関係の坂場の姿が細かく描かれることが多いが、注目すべきは神地役の染谷将太ではないだろうか。

『なつぞら』に染谷将太がキャスティングされたと知ったときは驚いた。染谷はドラマ『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)など数多くの作品で主演をこなし、映画『バクマン。』などでは脇役も見事に演じてきた若手実力派の筆頭株。そんな染谷が吉沢亮などイケメンぞろいで、すでに豪華キャストドラマだった本作に出演と聞き、「豪華」が「超豪華」キャスティングになった印象を得たのだ。

 そしていざ染谷が神地を演じてみると、なるほどお見事。新人ながらなつを「なっちゃん」と気軽に呼ぶ様や、絵コンテをサラサラ描く姿を飄々と演じ、新たな宮崎駿像を構築している。これは見事なキャスティングだった。

 それにしても、なぜこんな「超豪華キャスティング」が叶ったのだろう。その理由は2つある。1つ目は、朝ドラがNHKがもっとも力を入れている「高視聴率枠」だということ。朝ドラは平均視聴率が20%を下回ることがそうそうない、稀有なドラマ枠だ。しかも『なつぞら』はその100作目で、松嶋菜々子(45)ら過去作のヒロインを惜しげもなく起用している。染谷将太という人気も実力もある俳優が抜擢されるのも納得だ。

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