■貯金がなくても手遅れではない

 年を取ると病院にかかることが多くなるため、よい医者を見つけるのも重要だ。新潟大学名誉教授で、『医者とクスリの選び方』(アスコム)などの著書もある医師の岡田正彦氏が言う。「担当医がコロコロ代わる大学病院に行くより、近所のクリニックの中から、親身に相談に乗ってくれる主治医(かかりつけ医)を選んでください。よい主治医が見つけられたら、健康長寿でいられる確率がグッと上がりますよ。100歳まで生きるなら、病院選びより、医者選びのほうがはるかに重要です」

 前出の志賀院長は、早くから自宅をバリアフリーにすることを推奨する。「人生100年時代は、40代くらいからバリアフリーの生活を考えるべきです。欲を言えば、一戸建てなら階段がない平屋がいいですが、それは住宅事情から難しいでしょう。ならば、思い切ってエレベーターをつけるのがよいでしょう。というのも、高齢者になると家庭内の転倒事故が非常に多いからです。夜間の飲酒時に自宅で転倒して大腿骨を骨折。あるいは脳梗塞に至る……。こうした事故が、老化を早めている現状がありますね」

 エレベーターは難しいにしても、退職金などで、バリアフリーにリフォームしてみてはいかがだろうか。

 人間、生きていれば金がかかる。金の工面も、100歳まで生きるためには死活的に重要だ。『60歳から始めればいい安心のマネー術――老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の著書で、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が言う。

「世の多くの雑誌や本には、老後資金の準備は40~50代で始めようとあります。しかも、老後は投資信託などで資金を運用しないと、途中で生活費が底をつくと書かれているものも少なくありません。ですが、貯金がなくても、60歳から老後資金について考えても、手遅れではありませんよ」

 先だっても、政府が「老後資金には年金以外に夫婦で2000万円必要」との試算を発表、世の中がザワついたため、すぐに撤回する騒動があったばかりだ。「年金(国民年金だけでも)に加入していれば、受給を遅らせて受給額を増やす制度などを活用できますし、元気な限り働けばいいんです。一方で保険を解約したり、住宅ローンの借り換え、ポイント還元制度を最大限活用するなどして節約すれば、月額かなりの額を浮かすことができます」(前同)

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