■「絶対にお金をかけて」撮ったシーンはどこか

――遮二無二に頑張ってはいってるけれど。

松江 はい。その努力は、何か大事な世界を形作るための努力…という。そういった面でも、白石さんは物語の主人公になり得ないていなかったんだと思います。このドキュメンタリーにおいては。彼女は多分、乃木坂だけの価値観だけでやってないと思うから。

 とは言っても映像の「スケール感」が小さいわけではないんですよね。例えば、生田(絵 梨花)さんが大阪の2日目のコンサートに新幹線で向かうシーンあったじゃないですか。 ずっと新幹線の中でもいいはずなのに、空撮を入れてるんですよね。言わば見せ場ですよ、 空からの画って。絶対にお金、かかってるはずです(笑)。

 同じ日程、タイミングで撮影したものなのかは分かりませんが、作り手の意図は明確です。彼女の「絶対にライブに参加したい」という意思を描くことです。まるでアクション、サスペンス映画のように。その緊張感が、空撮の映像があることによってプラスされていました。

 で、ここが大事なんですが、なぜ、その効果をドキュメンタリーで入れたのか。本作の視点が手持ちカメラの目線だけで撮られた「内なる世界」だけではない、ということを提示しようとしたんだと思います。一方、このカットがあることで、リハの絵とか、ある種ディレクターの私的なハンディカメラの視点が逆に際立ってきたな、と思いました。

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