■年金は何歳で受給するのが得?
次に説明したいのは、「受給格差」について。ご存じのように、年金の受給には、65歳から(通常通り)、60歳から(前倒し)、70歳から(遅らせる)の3通りの方法が選択できる。60歳から受給した場合は年間約55万円が死ぬまで支払われ続けるが、70歳からにすると、受給額は年間約111万円に倍増する。
「トータルの受給額で見れば、60歳からもらう場合は76.6歳以上生きないと損をします。そして、70歳からもらう場合は、81.9歳以上生きないと損をする計算になります。その間を取るなら、65歳からの受給でしょう」(信託銀行職員)
自分が何歳まで生きるのか――“命がけのギャンブル”とも言えるが、平均寿命の延びを考えれば、一般に70歳からの受給が一番おいしいはずだ。
「間違いなく、70歳から繰り下げで受給したほうがいいでしょう。70歳からだと42%増しという“最大の年金”を生涯受給できます」(前出の長尾氏)
さらに、ここにきて、政府は70歳までだった繰り下げ年齢を75歳まで延長する方向で検討していることが判明した。「65歳受給と比べて、70歳で42%増しだった年金額が、75歳から受給すると84%増しになります」(前同)
老後を迎えて自分が、どのくらい年金をもらえるのかを知れば、それだけで肩の荷が下りるというもの。寄らば大樹の陰――。まずは「ねんきん定期便」で自身の年金額を確認し、100歳までの人生設計を見つめ直してみよう。