■自分は自分でしかない。まずは自分が自分を肯定してあげないと

 僕は、人の失敗をたいてい許せます。自分もつらいことがあったから、つらい人の気持ちが分かる。人と共有できるものが、「負」の気持ちで増えた感じです。

 ポジティブな気持ちを分かち合えるような人なら、それでいいと思う。でも、人間はそんな人だけじゃない。僕はつらい思いを抱えて生きている人たちに、「分かるよ」とは言えないまでも、「そうだね」と声をかけてあげたいんですね。

 たぶん、僕はいろいろな経験をして、“ありのままの自分を認めること”ができるようになったのかなと思いますね。今は、なかなか自分を肯定できない世の中じゃないですか。どこかから横やりが入って、すぐに「自分はダメだ」と感じてしまう。

 でも自分は自分でしかない。まずは自分が自分を肯定してあげないと、生きていけませんよ。そんなことも、20〜30代のときには思わなかった。人生でいろいろなダメージを負ったからこそ、感じられるようになったんです。

 僕の場合、60歳を過ぎて、さらにいろいろなことができるんじゃないかって思っているんですよ。今の世の中だと、60代なんてまだまだ。70歳過ぎまでは、自由に動ける気がするし、まだ好きなことだってできる。だとすると、“人生捨てたもんじゃない”って、僕だけじゃなく、いろんな人に言えることなのかなと思いますね。

六角精児(ろっかく・せいじ)

 1962年、兵庫県生まれ。82年、劇団「善人会議(現・扉座)」の旗揚げに参加。以降、多くの舞台、ドラマ、映画に出演し、ドラマ『相棒』シリーズでは、鑑識官・米沢守役で注目を集める。鉄道ファンとしても知られ、2015年からは旅番組『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』(NHK-BSプレミアム)に出演中。

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