■『ニッポンノワール』の賀来賢人が残念すぎる

 さて、男くささで勝負するドラマが多いのも、今クールの特徴だ。ひとつはフジテレビ月9の『シャーロック』。推理ドラマというより、主役の誉獅子雄を演じるディーン・フジオカの美しさの威力が8割。芝居のうまさはともかく、美しさで物語を成り立たせることができる人なのだ。さすが「おディーン様」。それも立派な俳優としての才能である。子犬系の岩田剛典を相方においたのも、ストレートなキャスティングの勝利。女性キャストに頼らないのも、イケメン男性雑誌を見ている感覚になり、とても気楽でいい。

 逆に、制作側が策に走りすぎて、視聴者だけでなく役者もついていけていない感が見えるのが『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)だ。『3年A組-今から皆さんは、人質です-』との世界観のリンクに、こだわりすぎたのではないか。そう思うほど、世界観のリンク“以外の部分”の散らかり方が謎レベルだ。

 とってつけたようにクレイジーな名越時生役の工藤阿須加、そして主役を演じる荒ぶった遊佐清春役の賀来賢人に至っては正直「?」である。賀来賢人の演技不足という意味ではない。ただひたすら、彼の荒々しさをどう見ればいいかが分からない。そして分からないうちに物語が進んでいき、とまどうばかりの一作なのだ。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の三橋役があまりにも分かりやすかったので、そのギャップについていけないだけなのだろうか……。

 イケメン俳優だからこそ、イメージチェンジの難しさというものを深く考えさせられる、今クールのドラマであった。もちろん、冒頭にも書いたが、大逆転の可能性もなきにしもあらず。後半戦もこれらのドラマを見守っていきたい。(田中稲)

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