のん
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テレビの中の女たちvol.1 のん

 能年玲奈がのんになったのは2016年のことだった。

 NHK総合の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)で主演を務め、一躍全国にその顔と名前が知られた彼女。しかし、事務所からの独立騒動と改名以来、テレビ番組で彼女の姿を見ることはほぼ無くなった。もちろん、ニュースや情報番組などにチラッと出演することはあったし、何よりCMにはよく出ていたから、テレビで全く見なくなったわけではなかったけれど。

 そんな彼女が3月10日(火)の『あさイチ』(NHK総合)に生出演。翌11日(水)には『ニュース7』(NHK総合)にも生出演していた。さらに、翌12日(木)にはドキュメンタリー番組『素顔のギフテッド』(NHK Eテレ)でリポーターとして出演していたから、この週、彼女はNHKの番組に3日連続で出ていたことになる。これまでになかったことだ。

 そして、役割を演じるCMなどではなく、共演者とやり取りする彼女を久しぶりにテレビで見て思い出した。そうだった、彼女の魅力のひとつは、コミュニケーションの危なっかしさにあった。

 たとえば、たけのこ料理を食べようとしてテーブルの上に落とす。中華料理を口に運び「ん……」と少し溜めて「中華だ」と言う。そして、大人になったと感じることは何かと尋ねられ、こう答える。

「はっ!……んと……なんですかね……あの、なんか、ちゃんと運動をしないと……筋肉が落ちてくんだなっていうのを、すごい……」

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