長谷川博己
長谷川博己

 長谷川博己(43)が主役の明智光秀を演じる大河ドラマ麒麟がくる』(NHK)は、早いもので第10話を迎える。第1話から見てきたが、ここ最近は主役のはずの光秀のキャラが薄いことに驚く。SNSでは「地味な光秀を見ていたらオジサンに見えた」といった厳しいコメントも相次いでいる状況だ。なぜこうなってしまったのか、第9話の放送を振り返り考えてみたい。

 駿河の今川義元(片岡愛之助/48)とつながっていた、三河の松平広忠(浅利陽介/32)が殺害される事件が起こった。一方、織田信長染谷将太/27)に嫁いだ帰蝶(川口春奈/25)は祝言をすっぽかされるが、信長はこれを詫び、帰蝶も心を許す。その後、帰蝶は父の信秀(高橋克典/55)と対峙する信長を見て、彼の胸の内を思いやる。その頃、明智光秀は後に正室となる熙子(木村文乃/32)と再会して……という展開だった。

 この要約の通り、主人公の明智光秀がほとんど出てこない回だった。約30分も画面から消え、主役感はゼロ。放送開始直後は、本木雅弘(54)が演じて話題をさらった斎藤道三ら、オジサンたちの存在感に押されていたが、将来の主君、織田信長ら役者がそろい、いよいよ影が薄くなっている。

 どうしてここまで主役の光秀が目立たないのか考えてみると、2つの理由に思い至る。まずは、毎話、主要キャラが1人ずつ増えていく独特の演出だ。大河ドラマでは珍しいことではないが、今回は登場人物が多い戦国ものだけに、毎話、誰かが初登場して注目を浴びている。

 第9話は熙子が初登場し、次の第10話では伊呂波太夫(尾野真千子/38)が初お目見えする。新キャラの小出しは見ていて楽しいが、毎話、注目キャラが登場するこの演出では、主演のハセヒロがどんどん地味になっていってしまう。実際に第9話の後にネットニュースを見ると、熙子の初登場のほか、実は忍者だった菊丸(岡村隆史/49)や信長の孤独な姿が話題となっていたが、残念ながら明智光秀のニュースはほぼなしという状況だった。

  1. 1
  2. 2