乃木坂46「個人PVという実験場」
第6回 乃木坂46の映像作品に『可笑しみ』をもたらした山岸聖太 3/5
■西野七瀬の個人PVでも同じ屋上が
井上小百合の個人PV『春の棒、暴れるきみは盆踊りの季節を待つ。』で哀切漂う事件の舞台となり、伊藤万理華と桜井玲香のペアPV『夏のせい。』で二人の微笑ましいコミュニケーションの場となったあの屋上(/articles/-/74230)は、山岸聖太が西野七瀬を主演に迎えた13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』(2015年)の個人PV『靴を履かない理由がない』でも印象的に登場する。
https://www.youtube.com/watch?v=MXbYMNg6Rtw
(※西野七瀬個人PV「靴を履かない理由がない」予告編)
廊下を歩く校長に対して、一人の女子生徒が人を喰ったような振る舞いで悪戯を仕掛けるこのショートドラマでは、ライブパフォーマンス等でも微細な表情の移ろいをたびたび秀逸に表現してきた西野の演技特性をあらためて確認することができる。
そして本編ラスト、山岸作品に特徴的な明朝体のタイトルロゴの背景に映る西野が佇んでいる場所は、山岸の監督する個人PVでしばしば目にする、なじみの屋上である。それぞれに独立した物語としてある山岸の個人PVだが、この共有のスポットが幾度も立ち現れることで、ひとつの学園世界を舞台にした連作としての立体感が浮かび上がってくる。