■緊急事態宣言が解除された地域なら…

 日本政府は5月14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除した。

「ドラマの撮影については、現在は6月1日から再開が可能なのではと見られていますね。一方で“東京での撮影は無理でも、緊急事態宣言が解除された地域のスタジオなら今すぐにでも……”との声が、現場から上がってくることがあるようです。

 ただ、こうした意見を実現するには至っていないといいます。地方の人からしてみれば、まだ緊急事態宣言が解除されていない東京から撮影スタッフが大挙してくるわけで、それは現地の人にとっては受け入れがたい。やはり倫理上まずいということですよね。

 それに、6月1日から撮影を再開できても密閉、密集、密接の3密を避ける必要があるでしょう。ドラマの内容もですが、やはり感染防止対策は重要ですから、思うようなシーンが撮れない場面も出てくると思います」(前出の民放キー局関係者)

 3密を避けた場合、最も注目されているドラマ『半沢直樹』に大きな影響があるという。

「『半沢直樹』は、重要なシーンほど3密です。銀行員の話ですから、当然、会議室での激突シーンは外せません。2013年版でも、多くの名場面がありましたからね。最終話で、堺雅人さん(46)演じる半沢と、香川照之さん(54)演じる大和田常務との対決が描かれた取締役会の場面も会議です。

 2020年版の原作にあたる『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)でも、役員会が頻繁に出てきます。特に、ホテルの会議室で行われる帝国航空の債権放棄についての合同報告会の場面は非常に重要です。『銀翼のイカロス』を原作にしている以上、このシーンが外されるとは考えにくく、名シーンになるのは必至でしょう。ただ、会議室で、多くの役員が出席するシーンですから、間違いなく3密。

 加えて2013年の最終話、半沢と大和田常務は、唾がかかる距離に顔を近づけ、ド迫力の言い合いをしました。名役者2人の至近距離での濃厚な演技のぶつかり合いが、視聴者の興奮を呼んだのは間違いないでしょう。その名場面にソーシャルディスタンスなんてへったくれもない。密閉、密集、密接、3密かと言われたらその通りで、感染症対策の面から見たら、最悪の状況でしょう。ただ、そんなことを気にしたら、良いシーンは撮れないですよね」(前出のドラマ制作会社関係者)

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