■「緊急小口資金」と「総合支援資金」

 住居費を含め、生活費の負担が厳しいが、給付条件からは外れる――そうしたピンチに頼りたいのが、比較的、条件が緩い「緊急小口資金」(20万円以内)と「総合支援資金」(単身で月15万円以内)である。給付ではなく融資だが、急場をしのぐ大きな助けとなる。「各都道府県の社会福祉協議会が申請窓口で、緊急小口は主に休業、総合支援は主に失業者が対象です。とはいえ、ともかく収入の減少で、生活が困窮していれば可能性はあるので問い合わせてみてください。総合支援資金は最大3か月分、緊急小口と併せて借りられるので、総額だと最大65万円。無利子なうえ、返済はともに1年後からでよく、総合支援金は10年以内、緊急小口資金は2年以内の返済でよいのも、うれしいですね」(前出の橘氏)

 利子のかかるカードローンなどに頼る前に、ぜひ検討したい。「自治体にもよりますが、問い合わせ後、手続きから入金までは2〜3週間かかる場合が多いので、早めの行動がよいでしょう」(前出の経済誌記者)

 また、裏ワザとして使えるのが生命保険だという。前出の長尾氏は、こう語る。「生命保険に加入している人ならば“契約者貸付制度”を利用する手もあります。契約している保険の種類にもよりますが、金を借りられる制度です。通常の場合、貸付金利は決まっていますが、一定期間ですが、特別措置として無利息で借りることができます。この制度の最大の利点は、申し込むとすぐに金を借りられるところです。政府の特例などよりも、反応が早いので、急を要する事態には適しています」

 早さの理由はというと、「保険会社は契約者の生命保険の解約返戻金を原資に、貸し付けるからです。それゆえ返さないと解約返戻金が減っていきます」(前同)

 貸付制度で利用できる金額は、保険内容や払い込んだ金額により異なる。「保険会社に確認をすると教えてくれます。貸付期間中も保障は変わらないので、死亡したり病気になったとしても保険金を受け取ることができます」(同)

 生命保険といえば、月々の保険料も負担が大きいが、コロナ禍の特例で、支払いを猶予できるという。「国からの要請もあり、各保険会社は毎月の保険料の支払いを、最長6か月間猶予してもらえます。これには、火災保険、自動車保険、傷害保険など損害保険会社も同様の対応をしています。また、契約更新手続きが困難になってしまった場合にも契約更新期間延長に対応してくれます。契約している保険会社に問い合わせるといいでしょう」(同)

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