■よりストレートになった90年代

 サザンオールスターズは1986年から一時活動を休止。個々のソロ活動を挟んで、1988年から活動を再開したが、この頃から社会派路線はよりストレートになっていったという。

「1990年に“政治家”というタイトル通り、政界や政治家を揶揄した楽曲が登場。さらに1992年には“ニッポンのヒール”というパパラッチや政治など社会のあらゆる事象を痛烈に皮肉った曲が発表されました。この後も1996年に“汚れた台所”、1998年に“爆笑アイランド”と、発売したアルバムに1曲は社会性のあるトラックが必ず入っていました。1990年代のサザンはシングルの売り上げも好調で、アルバムもミリオンやそれに近いセールスを叩き出していて、多くの人が愛聴。そのため、桑田のロッカーとしての反骨精神や攻撃性がかなり浸透した時期ではないかと思います」(前出の音楽ライター)

 サザンだけでなく、桑田のソロ活動でも、そのセンスが冴え渡った。

「料亭政治や医療、教育などを洒脱な言葉で揶揄した1994年発表の“漫画ドリーム”。アメリカに追従してばかりの弱気な日本を、ユーモアあふれる歌詞で軽快に歌った“ROCK AND ROLL HERO”などソロ活動でも桑田節が炸裂していますね。

 2009年には桑田の冠番組『桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜』(フジテレビ系)で、“アベーロード”というビートルズのアルバム“アビーロード”の収録曲の替え歌を披露。当時の政治や政局を痛快に風刺した、替え歌パフォーマンスは、放送から10年以上たった今でも、ネット上で話題になるんです」(前同)

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