『エール』休止明けは二階堂ふみの過剰演技が足かせに?の画像
二階堂ふみ

 4月にスタートした連続テレビ小説エール』(NHK)は、6月最終週から一時、放送休止となる。前半ラストとなる第13週「スター発掘オーディション!」は、主人公の裕一(窪田正孝/31)の友人、久志(山崎育三郎/34)と、ヒロイン音(二階堂ふみ/25)の恩師、御手洗清太郎(古川雄大/32)にスポットが当てられた。脇役の活躍も面白くなってきただけに、このタイミングでの放送休止は残念だ。ここでは休止前に前半を振り返り、後半の見どころを考えてみたい。

『エール』は昭和の大作曲家、古関裕而をモデルとした裕一が主人公だ。内気で気の小さい裕一に、窪田の演技が見事にハマっているが、その一方でときに見せる男らしさ、音楽と向き合うときに見せる真剣な表情など、ただのひ弱男子に終わらないのが魅力だ。朝ドラでは6年ぶりの男性主人公だが、窪田は見事にまっとうしている。

 また、妻であるヒロインの音もインパクト大だ。裕一と真逆で明るく活動的な女性として描かれ、物語全体に勢いを与える役も担っている。前半は裕一と音が結ばれて幸せになるまでに焦点が当てられ、2人の悲喜こもごもの人生模様が丹念に描かれていた。

 では、後半戦の見どころはどうなるかというと、主役2人の関係性よりも、裕一の活躍がメインになりそうだ。ドラマ前半では作曲家としての活躍の場がまだまだ少なかった裕一だが、モデルである古関裕而の足どりを考えれば、これから大活躍することは確実。夏の全国高等学校野球選手権大会の歌『栄冠は君に輝く』、さらには『エール』第一話でも描かれた『オリンピック・マーチ』など、古関の代表曲がどんなドラマとともに描かれるのか楽しみだ。『紺碧の空』誕生譚も、応援団長役に三浦貴大(34)を迎えて面白おかしくドラマチックに描いていた。名曲の背景にある人間模様を丁寧に描けば、さらに深みのあるドラマになるだろう。

 ただ、名曲がメインテーマのドラマとなった場合、心配な点がある。それが、音を演じる二階堂の演技だ。二階堂は25歳とは思えぬ演技力と存在感で、ここまでドラマを引っ張ってきたが、その濃すぎる芝居が悪目立ちしてしまう可能性があるのだ。

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