■男性視聴者も吉沢亮にほれぼれ
「おれと高坂役の吉沢亮さんの共通点は性別が男というぐらい。イケメンすぎやろ」「やっぱ吉沢亮って顔面の格が違うし、演技もかなり良い感じやな」と、これは高坂の登場を受けてツイッターにあげられた、男性アカウントによるつぶやきだ。そう、吉沢亮は、男性ウケもいい俳優へと進化しているのだ。
最近では19年の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)で、ヒロインなつ(広瀬すず/22)の幼なじみ、天陽役で複雑な心理を丹念に表現していた。『半沢』の高坂も、学生時代に逮捕されたという暗い過去を背負っているという設定で、第3話で見せたような熱さも内包している。なかなかの難キャラだが、吉沢はこの高坂を見事に体現し、女性のみならず男性もしっかり虜にしてみせた。
吉沢には21年に大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)の主人公、渋沢栄一を演じるという一世一代の大仕事が待っている。男性視聴者が多い『半沢直樹』で爪あとを残し、知名度を上げたことは、多くのおじさん視聴者が待ち受ける大河に向けても良い弾みとなったのではないだろうか。『半沢』で爽やかでキレがある芝居を見て、来年の大河ドラマがさらに楽しみになった。
それにしてもわずかな出演で、ここまでインパクトを残せるとは驚いた。伊佐山(市川猿之助/44)、大和田(香川照之/54)と、濃厚おじさん俳優が幅を利かせる『半沢』において、吉沢亮の存在はよい清涼剤にもなっていた。今後も『半沢』はこってり重ったるい展開が予想されるが、そんなときこそ吉沢が演じる高坂に、颯爽と再登場してほしいものだ。(ドラマライター・半澤則吉)