■三谷コメディで本領発揮!
『HR』は夜間学校を舞台にストーリーが展開され、香取は定時制高校の教師・轟慎吾を熱演した。
「香取が演じた轟は揉め事は面倒ごとが嫌いなのに、周囲に振り回されて、ゴタゴタに巻き込まれていくという役柄。1話では轟が想い人に渡そうとした手紙が行方不明になってしまい探していたところ、生徒が描いた轟の似顔絵を手紙と間違えて教室で大騒ぎ。最後には手紙を食べてしまうというシーンがありました。香取はこうした場面でも大げさに演技をしないので、ストーリーの面白さが際立ちましたね」(前出の芸能ライター)
2006年公開の映画『THE 有頂天ホテル』で、香取は再び三谷氏のコメディ作品に出演している。
「この作品で香取は歌手を目指していたものの、夢を諦めて郷里に帰ろうとしていたベルボーイ・只野憲二役を演じています。物語の冒頭で香取は最後の勤務を終え、地元に帰るだけだったのですが、多忙な大晦日であったために一時的に職場復帰。そこで、西田敏行(72)演じる大物演歌歌手・徳川膳武のアテンドをするんです」(前同)
大物演歌歌手との出会いで再び夢が動き出した只野。しかし、三谷氏の脚本は一筋縄ではいかない。
「只野は徳川に気に入られるものの、最後に“プロにはなるな”というキツい忠告を受けてしまいます。さすがに、この一言で夢を諦めると思いきや、今度は只野の歌に勇気づけられたという佐藤浩市(59)演じる国会議員の武藤田勝利との遭遇で再び歌手を目指すと決意します。
紆余曲折を経た、映画のラストでパーティーに集まった客を香取が眺めるのですが、冒頭でのブルージーな表情と打って変わって、清々しい表情になっている。大晦日の1日でさまざま起こった奇跡を、表情だけで見せているようで、喜劇なのにグッとくるんです。役者としての香取の表現力の高さを見せつけられているようでした」(同)
数々の名作を生み出してきた香取と三谷氏のタッグ。『鎌倉殿の13 人』でその勇姿が見られることを期待したい。