弘中綾香「バラエティしかやりたくない女子アナ」が目指す価値の転覆の画像
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テレビの中の女たちvol.10 弘中綾香

「いやいや、目が死んでますよ」

 5月16日の『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)で、アナウンサーの弘中綾香はそうツッコんだ。コロナが収束したら、これまで一度も開催したことのないスタッフとの飲み会をぜひ開催したい。そんなことを感慨深げに語り始めた“元人見知り”のオードリー・若林への、“毒”を含んだツッコミだ。

 弘中は、その“毒舌”で注目を集めた。若林に対し「人見知りなのに頑張ってしゃべってやんの」と言い放ったこともあったようだ(同、2017年11月6日)。そんな彼女に対し、周囲は“女子アナ”らしくないと繰り返しツッコんできた。

 ただ、“女子アナ”らしくないも何も、そもそも彼女はアナウンサー志望ですらなかった。第一志望は総合職への就職で、アナウンススクールにはほとんど通わなかった。“女子アナ”の登竜門、ミスコンにも応募しなかった。アナウンサーの採用試験を受けたのは、総合職の試験よりも時期が早かったから。人事担当者に早めに顔を覚えてもらうことが目的だった。にもかかわらず、合格。彼女は期せずしてアナウンサーになった。

 そんな弘中は、自身のアナウンサーとしての1年目をこう語る(AbemaTV『ひろなかラジオ』2019年8月26日)。

「私はバラエティしかやりたくないし、そっちに適性があると1年目から思ってた」

 “女子アナ”は、1980年代のフジテレビで誕生したとされる。ニュース原稿がうまく読めなかったり、アイドル的な活動をしているという点で、彼女たちはアナウンサーらしくないと評されてきた。

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