ぼくなど啜った途端に咽せるのがお定まり。しかし、慣れると辛さの奥にある旨みが感じられ最終的には甘いと錯覚さえ起こす。同店の旧サイトでも「その時点でこの世界から抜け出す事ができなく」なると、悪魔の囁きをしている。

 辛さをストレートに味わうため、トッピングも最小限の肉ともやしのみ。そして、全メニューで北極だけが最初から大盛と同量(1.5玉)なのだ。麺を食べることが辛味緩和の最大の手立て。とは言いながら、胃腸がやられ、翌朝のお通じが地獄と化すのも必定だ。

 ドラマでもラーメンを喰らった後、あかりんが浮かべる恍惚の表情が最大のハイライトだが、中でも北極点に到達した際のその喜悦の笑みは、空恐ろしいほどだった。実際、16年3月5日放送の『メレンゲの気持ち』でも、あかりんは中本の上板橋本店の北極を紹介していた。

 そして、19年3月23日放送の同番組でも、渋谷の辛麺屋 一輪の「辛麺」の10辛のコンニャク麺を推奨。25辛まで選べるといっても、10辛を所望するのは相当の猛者、いやモノノフ(武士)だ。まったくといって懲りていない。矢沢永吉の『時間よ止まれ』ではないが、「♪汗をかいたグラスの冷えたジン」のような女。立派な若武者か姫を生んで、いち早く現場復帰してほしい。

(取材・文=鈴木隆祐)

アイドル食堂

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