「でも一応、アイドルはアイドルだから、アイドルとは言ってましたけど。でも、やってることとか、歌ってることとか表現してることって、普通のアイドルじゃやらないことをやってたので」

 なるほど、所属としてはアイドルだが、パフォーマンスとしてはアイドル的ではなかったということか。アイドル的ではないアイドルを目指していたということか――。そう理解してしまいそうだ。

 が、続けて山口から投げかけられた「そこに対して応援してくれる人もいっぱいいたよね。普通のアイドルじゃないってことに対して」という問いに対する平手の返答を聞くと、その理解も不正確だったことに気づく。

「きっと、いらっしゃったとは思います。なので、自分はそっちを目指したかったし。で、いい意味でときには、なんだろう……すごいロック調の歌を歌った次のシングルでは、すごくむしろアイドルのような、でも、どこかグループらしさを残しつつの、を、やろうっていう。なんか結構毎回、いい意味で裏切りたいって気持ちが強くって」

 普通のアイドルではないところを目指したかったとしつつ、いかにもアイドル的な楽曲を発表することにも意識的だったという平手。「いい意味で裏切りたい」というところに、彼女の本心があるのだろうか。いや、その本心を言い当てようとすると、彼女は改めて「どうなんですかね……んー……」などと、一旦返答に躊躇するのかもしれない。

 山口と平手の対話は2週にわたって放送された。印象的だったのは、その最後のやりとり、というか“すれ違い”だ。少し長いが引用しよう。

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