山口「本当に正しいことって、たいてい最初はさ、マイノリティじゃん。でもホントにそれが正しかったら、いつか主流になるっていうかさ。だから、信じてやるしかないんだよね。主流だったことやっててもさ、それ以上なんか、やっぱり摩耗してくだけでさ、研磨されないっていうか。だから、平手さんから感じた同じ匂いは、僕はそこだったんだよね。摩耗じゃなくて研磨してるっていうか」

平手「へぇー。そうだったんですね」

山口「チャレンジしてるんだ。孤独っていうか孤高な人だなと思ったけど」

平手「うーん」

 彼女が何かを語り始めると、そこには掴みにくい存在が浮かび上がってくる。掴みにくいがゆえに、その存在感は一層色濃くなる。その存在感を言い当てようと、“何か”を語りたくなってしまう。ただ、その“何か”には、しばしば語り手自身が投影されてしまう。山口が「(自分と)同じ匂い」を感じると告白したように。そしてますます、彼女の存在からは遠ざかってしまう。

 平手友梨奈について“何か”を語ろうとしたときに起こるすれ違い。自分について語られていたはずの平手は、最終的に「そうだったんですね」とカウンセラーのように相手を受け止め、「うーん」と口ごもって、対話を終えた。

 ところで、番組で平手はこんなことも話していた。山口が「もう超絶雨男なのよ」と自分自身について語ったときのこと。彼女は笑いながらこう言った。

「私、雨好きだけど晴れ女っていう」

 平手自身が語る平手。雨が好きだけど晴れ女。なんだか、象徴的な言葉だ。そういえば僕も以前、似たようなことを先輩に言われたことがあった。表面上はネガティブなふりをしてるけど根はポジティブ、みたいな言葉だったのだけれど――と、これ以上自分を晒すのはやめておこう。

(文・飲用てれび)

テレビの中の女たち

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