■当初は鳴かず飛ばずも、お姉さんキャラを推して大ブレイク

 1973年に歌手デビューしたキャンディーズは、人気番組の『8時だョ!全員集合』(TBS系)にレギュラー出演するなどメディア露出は多かったものの、しばらくセールスがパッとしない時期が続く。その頃のセンターは最年少の田中が務めていた。

 人気がブレイクしたのは、メンバーの立ち位置を変更してからだ。デビューから1年半ほどが経った頃、ある関係者が、“伊藤のみ若年層のファンが多く、彼女が憧れのお姉さんとして見られている”という現象に着目し、1975年2月21日発売のシングルから伊藤をセンターに据えてプッシュする路線に転換。曲名は『年下の男の子』というストレートの剛速球だった。

 これが、キャンディーズにとって初のオリコントップ10入りするヒット曲となる。以後、伊藤は解散まで年長者兼センター(例外楽曲あり)としてグループを引っ張っていった。

 キャンディーズは、人気絶頂期にステージ上から突然の解散宣言をしたのはあまりに有名だ。このとき「私たち、皆さんに、謝らなければならない事があります」と切り出したのも、「普通の女の子に戻りたい」と言ったのも伊藤だった。

 解散後、一時的に“普通の女の子”になった3人は、しばらくしてそれぞれ芸能界にカムバックした。藤村は期間限定で歌手復帰。田中は歌手として復帰もやがて女優業に専念(2011年没)。一方、伊藤は復帰から長らく芝居の世界をホームグラウンドとして活動を続けている。ところが最近になって、昔からのファンを喜ばせるニュースをもたらした。2019年に5月にソロとしてアルバムをリリースし、キャンディーズ解散以来41年ぶりの歌手活動を再開したのである。これは、歴史上もっとも長いインターバルの空いたトップアイドルの歌手復帰だ。まさに、レジェンドの降臨だった。

(文/ミゾロギ・ダイスケ)

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