映画に引き続きMVの指揮を執ったのは山戸監督。堀による独白からダンスシーンへと移り変わる時に、ダウンジャケットを脱ぎ捨てるとセンター曲『バレッタ』の衣装があらわになる。雨が降り注ぐ中コンテンポラリーダンスを踊る堀は、どこか儚げでいて、しっかりと意志の強さも感じられる。

 それはまるで現実なのか空想なのか区別がつけられないような不思議な空気感をまとっていた。堀は「妄想と現実が混じり合ったような世界が好きなんです」(『EX大衆』2018年9月号)と好きな世界観について語っていたが、堀そのものこそ実像と虚像が交錯した存在に思えてならない。

 そこに存在しているようで存在していない、そこに存在していないようでしっかりと存在している。堀の持つこの二面性こそ堀の魅力だ。堀と信頼関係が築かれた山戸監督のディレクションだからこそ、ここまで堀の魅力を最大限に引き出すことができたのだろう。

 堀が突然センターに抜擢された際に、大方が疑問を抱きながらも、いざ彼女のパフォーマンスを見ると納得させてしまう魅力に満ち溢れていた。

 なぜセンターに選ばれたのかについて考える際に、様々な要因が考えられるが、2期生センターによる話題性などという野暮なことはここでは言及しない。話題性であれば堀以外の2期生メンバーでも良かったはずである。

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