■和輝のナレーションが始まるとなんだか泣けてくる

 ハロウィンから始まったラブストーリーがクリスマスをピークに実を結び、幸せになったカップルはもちろん、みんなのストーリーがまた始まっていく。そんな素敵なストーリーになった。ドラマ全体を通して、和輝はナレーションを担当していたのだが、とても重要な役割になっていた。そもそもタイトルが『姉ちゃんの恋人』なのだから、弟目線になっているのがポイントで、姉を想う気持ちを優しく語っていた。姉ちゃんのモノや人への接し方や考え方は、決して公平ではない世間とうまく関わって生きていくための心得にもなったし、脚本を担当した岡田惠和氏のメッセージでもあった。幼少に両親を亡くしたのは和輝も同じだが、生きていく為に家族のために頑張る姉を見てきた弟として、また一人の男として成長している和輝の言葉には重みがあった。

 なかなかの境遇にありながらも、悲観することなく明るく元気に生きてこれたのは姉ちゃんのおかげだし、穏やかな性格の和輝が話す声はあったかくて、やさしくて、健気さが感じられた。これは和輝を演じている髙橋が持つ性質に通じているから上手くはまっていたともいえるし、ナレーションを担当するに相応しいと思える仕上がりだった。

 そして、自然体で臨んだ芝居がとても好感が持てた。

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