■過去にもあった疑惑

 今回の決定で、BPOは「解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている番組の『1人対99人』というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るもの」と指摘した。

 また、『放送倫理基本綱領』の「放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」との規定に触れ、「制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、本件番組には放送倫理違反があったと判断した」との見解を示した。

 制作会社関係者は言う。

「『99人の壁』のエキストラ問題は、番組が抱える課題の氷山の一角かもしれません……。多くの問題がフジテレビ局内でもささやかれています。

 まずは権利の問題。同番組には以前から、オランダでオリジナル版が放送されているクイズ番組『1 vs. 100』の1人のプレイヤーが、100人の解答者と賞金をかけてクイズを行うというフォーマットに酷似している。しかも、本家のライセンス許諾を取らないまま放送しており、本家に訴訟されたら大事になる、という話が局内で語られていました。

 それ以外にも、疑惑が明るみになった場合、今回のようにBPOの審議に入るような問題に発展するような話がさまざまあるそうです」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4