高畑充希
高畑充希

テレビの中の女たちvol.45高畑充希

 今年1月から始まったドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)を毎週楽しみに見てる。

 舞台は山奥の小さな村、虹ノ村。その診療所に、東京の大病院を辞めた若い内科医、紅野真空が住み込みでやって来る。

 ただ、真空は進行性の難病を発症しており、当初はそれを隠しての赴任だった。医師であり病人でもある彼女だが、診療所の同僚や村の人たちとの関係の中でその“嘘”を打ち明けるとともに、診療を通じて彼ら・彼女らのさまざまな事情も徐々に知っていく。

 主人公の真空を演じるのは、高畑充希。その演技はとても自然体だ。そのあまりに自然体な演技は他の俳優たちとリアリティの水準がしばしばズレているのだけれど、そのズレが却って村の外部からやってきた存在、村にまだ馴染んでいない存在としてのリアリティを感じさせる。

 また、ドラマは医療ものとしてシリアスな場面も随所に織り込まれるのだが、全体のトーンとしてはファンタジー。村の遠景を捉えた画面はミニチュア風でかわいらしいく、少なくとも現時点(第3話)までは村人たちの関係も決定的な衝突のない温かいものとして描かれる。そんなある意味でこの世のものではないような世界を、高畑の演技のリアリズムが支えていく。

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