■その道は順風満帆ではなかった
とはいえ、その道は順風満帆ではなかった。この年の1月にグループの体制が5人から4人に急遽、チェンジ。これにより10年間で積み重ねてきた120曲もの持ち歌を、歌割りからフォーメーションまで、すべて4人バージョンに作り直す、という気の遠くなるような作業が待ち受けていた。東京ドームまでの4カ月間で、その作業を終えなくてはいけないわけで、もはや単純に10周年をお祝いするためだけのライブではなくなった。
当初は5月23日のみの予定だったが、チケットは瞬殺で完売。そこで急遽、前日に追加公演を開催することに。平日の公演、しかもメンバーが減ったばかり、という状況から「2日連続公演は無謀では?」という声もあがったが、運営サイドは「満員にならなくても、行きたいと思っているすべての方にチケットが行き渡れば、それでいいじゃないですか」とファンファーストで追加公演を決めたのだ(結果、超満員とはならなかったが追加公演にも3万7000人もの観衆が詰めかけた)。
そして2日目は超満員の観衆で東京ドームがギッシリ埋まった。メンバー、スタッフ、ファンの総称として『TDF(Team Diamond Four)』という新しい指標が示され、黒いTシャツを蝶野正洋からステージ上で手渡された。めったに人前では泣かないメンバーが全員、大号泣する中、百田夏菜子は涙を拭いて「いまなら自信を持って言える……お前ら、全員、付いてこーい!」と絶叫。10周年というよりも、11年目の新しい第一歩をファンを一緒に踏み出した、忘れ得ぬ記念日となった。
(EX大衆2021年3月号「周年ライブの魅力再確認」ももいろクローバーZ)文●小島和宏
「周年ライブの魅力再確認」
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