■「潔くしないと、時代に申し訳ない」

 僕が死ぬときのことも考えました。2つの希望を家族に伝えてあります。まず、戒名は自分で決める。そして、棺桶は無垢の桐でできたリーズナブルなものにして、それに娘と孫たちに絵を描いてほしい、と。

 この世におさらばを告げるときは……できることなら、ごく普通の感じで「ありがとう。グッバイ、またな」とあいさつをして逝きたいなぁ。

 僕は死ぬ年齢をもともと98歳に設定していました。でも、コロナ禍があったので3年延長して、101歳にしました。今、70歳ですから、最期にそう言えるようには、あと31年をどう生きるのかが大事になる。

 我々、団塊の世代は、明治生まれの祖父母と戦争を経験した両親のもとで育ち、昭和、平成、そして令和を生きてきました。東京オリンピックも、バブルも知っている。仕事をバリバリやり、酒を飲み、思う存分やってきたわけだから、みっともなくあがいちゃいかんと思うんです。潔くしないと、時代に申し訳ない。

 幸い、義理の息子や娘たちは、我々、団塊世代を見て大人になり、因子を受け継いでくれているから、パワーがあります。彼らはコロナ禍でもおじけづくことなく、エネルギーを失うこともなく、でも慎重に、前へと進んでいる。あいつらが将来を支えていくと思うと心強いですよ。元気が出ます。

 健康面については、ありがたいことに妻と娘たちが口うるさく言ってくれます。水を1日2リットル飲め、とかね(笑)。最初は「そんなに飲めるか!」って抗っていたんだけど、だんだんと慣れてきて、今では「今日はもう1リットル以上飲んだよ」なんて報告するようになった。だから家族には「今後もしつこく言い続けてくれ」って頼んであります(笑)。

 そうやって生き続けて、いつか佑の父親である柄本明さんと“ジジイの闘い”みたいな共演をしてみたいな、と思っています。

奥田瑛二(おくだ・えいじ)
1950年3月18日生まれ。愛知県出身。1979年『もっとしなやかに もっとしたたかに』で映画主演デビュー。主な出演作として、映画『海と毒薬』『千利休 本覺坊遺文』『棒の哀しみ』、ドラマ『金曜日の妻たちへⅢ 恋におちて』『男女7人夏物語』(ともにTBS系)などがある。映画監督としても『少女』『長い散歩』など5作品を発表している。

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