『徹子の部屋』(テレビ朝日系)がこの2月で放送開始45周年を迎えた。その司会者・黒柳徹子(87)は、同番組開始よりもさらに20年以上前、日本のテレビの創成期からテレビに出演し続けている。テレビ界のいわば生きる伝説とも言える、黒柳徹子のすべてに迫った。
徹子は、日本の元祖テレビ女優だ。しかも、文学座附属演劇研究所で芝居を学び、演技の勉強のためにニューヨークに留学していたキャリアもある本格派である。
しかし、2021年にもなると、1シーンだけのゲスト出演的なものをのぞき、徹子が出ているドラマを観たことがある人は極めて少数派ではないだろうか。なぜか?
それには、主に次の2つの理由がある。
(1)司会業に専念するようになったから
徹子は『徹子の部屋』がスタートした1976年からは、「役のイメージと混乱を招く」といった理由から、本人の意志で積極的にドラマ、映画に出演しなくなり、舞台を女優業のホームグラウンドにするようになったのだ。
以後のドラマ、映画出演作はゼロではないが、特に平成期以降は、出演しても、本人役か限りなくそれに近い役での、番宣目的のゲスト出演がほとんどとなった。
(2)映像が残っていないか、残っていてもソフト化されていない
NHK専属時代には、多くのNHKドラマに出演していたが、古のテレビドラマは生放送か、ビデオテープが高額だったため録画したテープは保存されず上書きされていた。何しろ、連続テレビ小説(61年~)や大河ドラマ(63年~)でもしかりだった。そのため、『若い季節』など、NHK時代の作品はほとんど、映像がアーカイブされてない。
1965年よりNHKの専属ではなくなり、藤田まことらが主演の『おれの番だ!』(TBS系)で民放連続ドラマ初出演。しかし、それらもマスターテープが残っていない模様。また、出演作の多くがソフト化されにくいホームドラマであることも、徹子が“幻の女優”になっている一因だろう。
なお、徹子はNHK時代から声優としてのキャリアも豊富で、『チロリン村とくるみの木』、『ブーフーウー』、『ひょっこりひょうたん島』『サンダーバード』などの人形劇がよく知られている。
■DVD化されている数少ない徹子出演作
『6羽のかもめ』(74年/フジテレビ系)は倉本聰脚本のテレビ界の内幕を描いた作品。徹子はゲスト出演。
『おさな妻』(70年/東京12チャンネル)は、おっさんとJKの結婚生活を描いた作品で、徹子はおしゃべりな隣人役。
『サンダーバード』では、ピンクのロールスロイスに乗った美女「レディ・ペネロープ」の声を担当した。
(EX大衆2021年3月号「黒柳徹子のすべて」幻のテレビ女優)文●ミゾロギ・ダイスケ
「黒柳徹子のすべて」
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