■長瀬智也の演技をもっと見たい!
最終回が楽しみだが、終わるのがつらい。長瀬の桁外れな包容力を再確認しただけに、彼が3月末、ジャニーズ事務所を退所したその後が気になる。裏方に徹するなどと言わず、またドラマや映画でその姿を見せてほしい。
そしてもう一つの当たりドラマ『その女、ジルバ』にも共通するが、江口のりこ(40)がたまらなく良かった。見ているうちは「江口のりこ」を完全に忘れている。ふと「あれ? そういえばどっちも江口のりこが出てる」と思い出す感じ。この演技力はすごい。
2作品とも、彼女が演じる役柄が感情を爆発させるシーンがあったが、独特な忖度のなさというか、シラケ感を持つ江口だから、ストレートに響いた。色気・好感というキーワードとはまた別のゾーンの個性。2010年、彼女が主演を務めた『野田ともうします。』シリーズ(NHKワンセグ2)が好きだったが、あれから11年、まったく変わってないのも驚く。
「熱演!」という感じではなくどこか植物的で、重いセリフや難しい設定もひょいと「ほどほどリアル」にしてくれる。そんな名優たちが気分的に下がり気味だったこの冬を、シミジミ温かく包んでくれた。2つの名作に感謝である。(田中稲)