■出世作『いいひと。』は不遇時代の戦友・菅野美穂がヒロイン

 その後、何本かの連続ドラマ、単発ドラマへの助演を経て、草なぎにとって初の連続ドラマ主演作となったのが、1997年の『いいひと。』(フジテレビ系)だ。

 文字通り「いいひと」を演じたこの作品は、草なぎ自身のパブリックイメージを決定づけるものとなった。同作では恋人役を菅野美穂が演じているが、これはアイドルマニアには感慨深いキャスティングともいえた。

 両者はかつてアイドルバラエティ番組『桜っ子クラブ』(1991年/テレビ朝日系)で共演していたのだ。

 この『桜っ子クラブ』はタイトルのとおり、菅野や中谷美紀、井上晴美、加藤紀子、持田真樹らを輩出した女性アイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」の冠番組であり、SMAPの役割は盛り上げ役に相当した。これはデビュー当時の彼らの不遇ぶりを象徴する番組ともいえる。

 ただし、桜っ子クラブさくら組とて、グループとして人気が大ブレイクした訳ではない。90年代初頭は“アイドル冬の時代”であり、ジャニーズ勢にも女性アイドルにも苦しい時期だった。そうした意味で草なぎと菅野は冬の時代の戦友同士ともいえた。

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