「汗をかきながらフウフウ言って食べるのがいいなって。(略)家族と一緒に小学生の頃から1時間くらいかけてでも食べに行っていました。東京でお仕事をするようになってからも辛麺が食べたくて。都内の辛麺屋さんを探しては行きました。ここは、よく食べに行っていた宮崎のお店で修行していた方が出したお店。だから、味が近くて地元を思い出します」

 森七菜がいっぱしのラーメン喰いだと認定できるのは、同店の味に対する以下の表現だ。辛いラーメンはいくらでもあるが、

「決め手はスープのコクの深さ。辛くなくてもきっとおいしいだろうなって。中辛はスープのおいしさが感じられるほどほどの辛さなんです。レンゲの上にスープと麺と具を載せて、ちっちゃい辛麺をつくって一口でカプッと食べると、もう満たされます」

 わかるなぁ、この感想。かつて「なにも足さない。なにも引かない。」というウイスキーの広告コピーがあったが、ラーメンの本質もまさにその通り。

 某蒙古タンメンが拡大するにつれ、スープの底力が抜けた気がして、あまり通わなくなった。激辛とか背油でごまかされちゃいけない。ラーメンでもなんでも出汁が命。そして、辛さや油の下に潜む旨さを感じられなければ、それら特殊なトッピングの価値も薄れるのだ。

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