特に印象的なのは、有吉とマツコがカレーを知り合いに差し入れる人に対する批判を始めたときのこと。マネージャーにカレーを差し入れることがあると語る夏目に「迷惑だ」と2人の矛先が向かうと、彼女は次のように切り返した。

「たぶんですけど、お二人がクズなんだと思います」(同前、2013年3月30日)

 憧れの偉人を聞かれて「北条政子」と答えたこともある彼女は(同前、2014年7月15日)、なるほど、強い。悪ノリし始めた2人にたびたび冷水を浴びせる夏目を見ながら、私はテレビの前で笑い声をあげ、喝采を送っていたことを思い出す。

 かつて、コラムニストのナンシー関は、1998年の段階で有吉を評して次のように書いた。当時放送されていた深夜番組『リングの魂』(テレビ朝日系)、その芸能人最強柔道王を決定する企画で、フィジカルの強さを見せつけていた有吉への言及だ。

「あんなに童顔なのに、どうしてふてぶてしさしか印象に残らないのか。ユーラシア大陸横断も、今となってドロンズや朋友(パンヤオ)と比べてみると、特に有吉はひたむきさに欠けるというか(今思えば、であるが)没頭の度合いというか、体温というかが低い感じだった。それは、この生身の人間としての強さのせいだったのかもしれない。テレビという顔を強調する装置のせいで、我々は有吉という人間を、間違えて解釈しようとしていたのかもしれない。有吉は何故かふてぶてしく見える、のではなく生来ふてぶてしいのだ」(『テレビ消灯時間』文藝春秋)

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