豊かな自然を写し取ったカットを多用する今回の朝ドラは、まるで自然環境を主人公に、そこに生きる人間を背景にしているようにも見える。そんな映像の中に、彼女は違和感なく、しかし確かな存在感をもって立つ。

 オープニングの映像も、清原がミネラルウォーターのCMに出ているかのような、清涼感あふれるものだ。なるほど、そんな彼女にはやはり“透明感”という言葉をあてたくなってしまう。

 他方で、物語の時間軸としては現在2014年。東日本大震災後の宮城県が舞台だ。まだ物語の中ではっきりと明らかにはなっていないが、清原が演じる百音は、震災を理由とした何らかの屈折を抱えているようだ。少しずつ視聴者に感じ取られていく主人公の“淀み”。今後、そんな”淀み”を清原は演技の中で本格的に表現していくことになるのだろう。

 今回の朝ドラで共演する西島秀俊は、役者としての清原について次のように語る。

「(演技で)嘘をつかないですよね。実際演技をして、自分の心とか体が動いて、それがやっぱりこの台本ではこうなっているけども、こっちに心とか体が動いてしまうってことに、すごく集中してるし、それを丁寧にどのシーンでも大切にしてるって印象ですね」(『土曜スタジオパーク』NHK総合、2021年5月22日)

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