松坂桃李、超異色NHKドラマ『今ここにある危機』を成立させた「主張ゼロ俳優」の凄み

■佐藤二朗主演の次作も問題作

　そして、主演の松坂桃李は本当に魅力的。彼は映画『新聞記者』でも不思議に思ったが、かなり政治的なメッセージ性が強い作品に出ても、役と割り切って見られるのだ。まったく「松坂桃李」という中の人の主張を感じない。これはすごいことだと思う。

　とはいえ、正直、このご時世に重いテーマのドラマを見るのは、必要以上にパワーを使った。だから全５回という短さも丁度良かった。このＮＨＫ土曜９時の土曜ドラマ枠は、過去にも『フェイクニュース』『心の傷を癒すということ』など、時代を映し出した良作が多い。今年２月に放送された『六畳間のピアノマン』も素晴らしく、他の枠にはあまりない余韻をくれる。

　６月１２日から始まる、佐藤二朗（５２）主演の新ドラマ『引きこもり先生』も楽しみだ。中年層の引きこもり、４０７０、５０８０の問題が深刻化しているが、そこから立ち直った人の目線である。そして母親役が白石加代子（７９）。怪優タッグ、ものすごく期待大である。（田中稲）

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