■「俺はワイルド長瀬だ!」

「長瀬は、生粋の天然ぶりとワイルドさで知られていますが、同時に、芸能界屈指の気配り男ですからね。18年の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)では、1人で定食屋で食事した際に“日替わり定食と単品の唐揚げ”を注文したら“日替わり定食と唐揚げ定食”が来てしまい、店員に申し訳なくてミスを指摘できず、“俺はワイルド長瀬だ!”と内心で叫びながら、イメージを壊さないよう2人前を完食した、という話をしていました」(前出の女性誌記者)

 そんな長瀬の人間性がにじみ出ていたからこそ、00年の『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)を筆頭に、長瀬は演技で我々を魅了してきたのではないか、という指摘もある。05年4月号の『CUT』(ロッキング・オン)でも長瀬は、

「『人を笑わせてやる』みたいなのはヤなんですよね。自分がすっげえバカなこと一生懸命やって『笑われてる』ほうがいい。そうするとすっげえ自分もワクワクしてくる」

 と、自分を「視聴者より下」に位置づけている謙虚さが伝わってくる。

「長瀬は、96年の『白線流し』(フジテレビ系)のように儚い、少女漫画の主人公のような雰囲気でしたが、宮藤脚本の『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』で、長瀬を“めんどくせー!”とボヤきつつも池袋のトラブルを解決する若者・マコトを演じたことで、ワイルドさ全開なビジュアルと、内面にたまに見せるナイーブさがうまく融合した魅力的な俳優になったと思います」(前同)

 その後も、05年の同局のクドカン脚本作『タイガー&ドラゴン』では落語家に弟子入りするヤクザの山崎虎児を好演。さらに宮藤官九郎がかかわっていない作品でも、06年には『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』、09年には『華麗なるスパイ』、13年には『泣くな、はらちゃん』といった、多くの日テレ土曜ドラマ名作を量産し続けてきた。

「特筆すべきは、『マイボス』では“27歳のヤクザだがバカ過ぎて後を継げないため18歳のフリをして高校に通う”、『華麗なるスパイ』は“前科13犯の天才詐欺師がテロ工作を阻止する日本の国家スパイをやる”、『はらちゃん』は“自作漫画のキャラ『はらちゃん』が現実世界に飛び出す”と、どれも設定だけ聞くとまったくリアリティがない役ばかりであること。

 しかし、長瀬が演じるとどれも現実味が出て“実はこんな人いるのかも”と、すんなり受け入れられるんですよね。宮藤の映画『TOO YOUNG TO DIE』で“地獄のロックバンド地獄図(ヘルズ)のリーダーである赤鬼のキラーK”を演じたときもそうでした」(前出の女性誌記者)

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