ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)の10話は、ナイト・ドクターとしての理念や救急医としての情熱を見せつけられた。すべての命を助けられない悲しみがある一方で、受け入れられる命があるなら一人でも多く受け入れたい、受け入れた上でどうすれば運用可能かを考えたいという強い思いに心が震えた。
■ 節電隊長を任命された深澤の長い夜
台風接近による雷雨の影響で、あさひ海浜病院の周辺一帯が大規模停電になってしまう。本郷(沢村一樹/53)から“節電隊長”を任命された深澤(岸優太/25)は、病院内の節電のために医局やスタッフステーションで使用していない機器をコンセントから抜くこと、廊下階段トイレなどの使用していない場所すべてのスイッチを切るよう指令される。それもエレベーターの使用は禁じられたから階段で回るしかない。深澤は真面目だから、言われた通りエレベーターは使用しないし、階段は一段抜かしで一気に駆け上がる。廊下もバタバタと足音を立てることなく素早く回るし、消灯ルートにも無駄がないように見えた。
すべての消灯を完了して戻ってきたのも束の間、本郷から使用していない医療機器の電源を落としてくるよう追加で指令が下った。再び階段を駆け上がる深澤が少々気の毒で、でも文句を言いながらも懐中電灯を片手に走る姿を見ると、頑張ってほしいと応援したくなってしまう。
この一生懸命さは演じる岸にも通じていて、バラエティ番組などでゲストと対決した際にゴールポイントを間違えてしまったり、トークタイムで話の本筋から脱線してしまった時に見せる表情と重なって見える。少し悔しそうで、でも清々しい笑顔で周囲の人たちに合わせて空気を明るくしていくよさがある。穏やかな人柄に誰もが安心するのだ。