しかし、自分のポジションに気づいた現在では、アイドルとして個性が確立された印象を受ける。それはパフォーマンスにおいても顕著に現れており、櫻坂46が持つ楽曲の力強い世界観を柔和なイメージを持つ田村が表現することによって、グループ全体のパフォーマンスがより強く印象付けられるという視覚的な効果も表れており、そうした田村の個性が櫻坂46の多様性を体現しているとも言えるだろう。

 ギャップという意味では、新作『流れ弾』のパフォーマンスがひときわ田村の存在を大きく映し出していたように思う。田村の持つ艶っぽさが逆に狂気的な表現力を生み、楽曲の世界観に見事なまでにハマっており、普段のイメージとのギャップから繰り出される爆発的な表現力というのは田村の最大の強みなのだと改めて実感させられた。“表現力”がグループを構成する重要な要素としてあるだけに、田村のセンター抜擢はグループを活性化させる可能性を秘めている。

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