■例年より安い山海の高級食材

 また、今年はウナギの稚魚であるシラスウナギが豊漁だという。

「過去最高だった2018年から3年連続で値下がりし、今年はピーク時の半値以下です。“ウナギといえば中国産”が庶民の常識でしたが、今後は、高嶺の花と諦めていた国産のうな重や蒲焼きが食べられそうです」(グルメライター)

 では、ウナギと同じく高級食材の代表であるマツタケはどうか。秋の味覚の“王様”といえる食材だが……。

「マツタケが豊作になる条件は、秋になって気温が下がり、十分な雨量を確保できること。その意味では今年、いい条件がそろいました。マツタケの収穫は始まったばかりですが、出だし好調です」(マツタケ農家)

 国産のマツタケが豊作だと、外国産も値崩れを起こしやすくなる。どうやら今年は“王様”を味わえそうだ。

 一方、大雨や長雨の影響で、生育が遅れている野菜が軒並み高騰しているが、キャベツは狙い目という。前出の丸山氏が解説する。

「キャベツは1玉100〜200円と、モヤシと並び、今年、最も食卓を助けた野菜です。その理由は、主産地の群馬と岩手では長雨の影響も少なく、生育がよかったからです。この秋も安定した価格が期待できますよ」

 また、秋の美味といえば、果物。今秋はブドウが“買い”のようだ。JA山梨が取材に応じてくれた。

「シャインマスカットなど、ブドウは今が最盛期です。今年は梅雨明けも早く、果物にとっては好材料がそろい、価格もお手頃です」

 シャインマスカットは高級品だが、全国の栽培面積は、18年までの10年間で10倍以上に拡大。結果、価格が下がったというのだ。

 一方、そろそろ新米の季節だが、コメは気象条件とは別の意味で値崩れを起こしそうだ。コメの生産農家がため息交じりに言う。

「外食チェーン向けの業務用米の需要がコロナ禍で減少して、6年ぶりに値下がりしました。今年は昨年の在庫も重なり、価格の下落が進みそうです」

 価格下落に苦しむ生産者のためにも、安い秋の食材を買って、旬の美味を楽しみましょう!

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