セ・リーグ優勝のヤクルトは「75点」!くじ引き11連敗の巨人は?プロ野球12球団「波乱ドラフト会議」通信簿の画像
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 10月26日、プロ野球セ・リーグの優勝が決定。ヤクルトスワローズが2021年のペナントを制した。

 遡ること15日、10月11日、プロ野球のドラフト会議が開催され、支配下・育成枠合わせて総勢128人の“金の卵”が指名を受けた。

「投高打低といわれ、事前の1位公表も2球団のみ。球団独自の思惑が出た面白いドラフトでした。明桜高の157キロ右腕・風間球打(18)を一本釣りしたソフトバンクのうまさと、今年の目玉の小園健太(18)を競合承知で指名したDeNAが目立ちました。DeNAは、例年の“即戦力大卒投手指名”から方向転換しました」(スポーツ紙デスク)

 今季ドラフトの結果を踏まえ、各球団を採点する(次ページの表参照)。ニッポン放送のドラフト特番で解説を務めた、アマ球界通のライター菊地高弘氏は、西武が満点に近い評価。

「際立ったのは、左腕不足という補強箇所を埋めた西武。4球団競合の西日本工大の隅田知一郎(22)を引き当て、1位で消えてもおかしくない筑波大・佐藤隼輔(21)も2位で獲得。4位の八王子学園・羽田慎之介(17)も骨髄浮腫を発症中の今季はほぼノースローですが、完治すれば菊池雄星以来の本格派になれる逸材」

 その隅田をくじ引きで外したのが巨人。目下11連敗と、くじ運の悪さも目立つ球界の盟主は、70点といったところだ。

「巨人は早い段階で結果を求められるチームですが、1位の関西国際大・翁田大勢(22)は今秋、ようやく故障から復帰した選手で、少し荷が重い。2位のJR東日本・山田龍聖(21)も伸び盛りの素材型。リリーフ志望の翁田本人に対して、原監督は“先発で”と明言するなど、球団とのギャップも気になります」(菊地氏)

 ライバルの阪神もくじ引きで敗れ、“高校BIG3”の市立和歌山・小園健太を逃すも、同じBIG3の高知・森木大智(18)を獲得。4位で甲子園を沸かせた智辯学園・前川右京(18)の指名にも成功し、80点。

「内外の圧が強い阪神という特殊の球団でやっていくには、強靱なメンタルが必用。1位の森木はともかく、前川などはとりわけ繊細で悩みやすいタイプで、環境という部分は不安要素になりそうです」(前同)

 今季ドラフトで赤点となったのが、“外れ外れ1位”で関西学院大の左腕、黒原拓未(21)を指名した広島だ。

「何より最優先はポスト鈴木誠也となりうる右の大砲。くじを二度外した影響もあってか、獲れる状況にあった慶大・正木智也( 21 =ソフトバンク2位)を逃したのはもったいなかった。その右打者を社会人から獲ったというのも、どこかチグハグな印象でしたね」(同)

 元プロの目線からはどう見えたのか。来季の“伝統の一戦”を見据えて、阪神OBの藪恵壹氏が指摘する。

「阪神は前川に加え、6位で日立製作所の豊田寛(24)を指名しました。外野手を厚くしたところを見ても、来季は佐藤輝明を内野に戻す計画があるのかな、と。絶対的に投手が必要だった巨人は、意志を感じる合格点のドラフト。とはいえ、チーム作りの要は捕手。大城卓三らが力不足の現状からしても、中大の“阿部2世”古賀悠斗(22=西武3位)あたりは狙いにいってもよかった気はしますね」

 プロへと挑む、金の卵たちの未来に期待したい。

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