■田辺桃子と細田佳央太の演技の秘密は?

 また、放置自転車は空の練習をジャマしようとした、元カレが置いたものだと判明。空に一方的にフラれたことを納得できなかったという。これに空は、視覚障害があることから、ほかの人に優しくされたとき、元カレが「ありがとう」ではなく、「すいません」と謝っていたことがつらかったと振り返った。

 自分より先に謝られることで、劣等感で落ち込んでいたという空の告白があっても、自身の罪を理解しようとしない元カレに、盲学校のクラスメートで、生まれながら全盲の青野(細田佳央太/19)が「ふざけんじゃねえょ!」と一喝。手探りで元カレに駆け寄り、涙ながらに空の苦しい胸中を伝えようとした。

 怒りで立ちすくむ青野に、森生が「おまえ、カッコいいじゃん」と声をかけると、空も「ありがとう、青野」と感謝。そして、空は森生にもマラソン練習で伴走してくれたことを感謝し、「ユキコが好きになったのが、アンタで良かったよ」と、2人の恋を祝福した。

 これを見ていた視聴者は、ツイッター上で「田辺桃子ちゃん、役によって表情が全然違うのスゴすぎる。今回は空を演じてるときの目線が合わない演技が本当にうまい」「細田佳央太くんの観察力の鋭さが為せる演技に引き込まれる。恋ですはみんな演技が自然だから、自然に感動して涙でる」などと、称賛の声を寄せていた。

 盲学校の生徒を演じる主演の杉咲だけでなく、田辺と青野の真に迫る演技は、視覚障害教育の現場からも好評だという。これは、3人が撮影前に盲学校を訪れて当事者と話をしたり、弱視の見え方を体験できる“シミュレーションレンズ”を着用するなど、事前のリサーチが徹底されていたおかげのようだ。

 杉咲らの演技によって、弱視や全盲の登場人物をリアリティを持って見られるうえ、ユキコと森生のピュアな恋模様に胸キュンする同ドラマ。「キュン度が少ない」と言われている秋ドラマの中で、注目度ナンバーワンだと言えだろう。(ドラマライター/ヤマカワ)

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