■父親のひいきの店

 さてもう1軒はもつ焼き店の「だるまさん」。コロナ禍の影響もあったのか、昨年には田無駅の南口から北口に移転して、ずいぶん小綺麗になった。以前は3階建ての店の2階と3階を占めていたが、今は1階だけだが、間取りは広めだ。この店には昨夏、友人と田無で飲んだ際、つい懐かしくなって足を向けてみた。

 さすがに店に写真は飾っていないが、俳優デビューした年に亡くなった父親が贔屓にしており、「二人で食事をしているところを目撃した」、との情報はけっこう上がっているから確かだろう。坂口は家族愛が強く、デビュー後もしばらくは実家で暮らしており、一人暮らしするようになっても、ちょくちょく帰っていたようだ。Twitterには「坂口が同店でバイトしていた」との呟きも。

 幼い頃には心理的な距離があったが、モデルを始めた頃には父が良き相談相手となっていたらしい。初任給で父におごったら、「すごく戸惑っていた」と雑誌のインタビューで回想しているので、おそらくだるまさんで親子水入らず、差しつ差されつしたのではないか。ちょっとどころか、めっちゃいい話である。父と酌み交わした酒が、間違いなく坂口健太郎という役者に深みを与えている。

 かつてのだるまさんはもつ焼きのシロがおいしく、『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)にも登場した。初代が1981年に始め、約40年でショバ替えをしたわけだ。元競輪選手という二代目が、トンツクネという軟骨の食感を蓮根で再現したアイデアメニューを考案し、それも旨かった。ところが、北口に引っ越してからは、総合力は上がったかもしれないが、親子水入らずしんみり飲るという雰囲気ではなくなった。

 天上で成長した息子を見守る父は、長年暮らし、愛した街の変貌ぶりをどう感じているのか。それでも今も、坂口はこの店で父を偲んで飲んだりするのだろうか。

(取材・文=鈴木隆祐)

アイドル食堂

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