■オリンピックをメインに、キャスター業が充実した1年だった

 その後、嵐の結成記念日でもある11月3日に先行開始となったライブ映画『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』の初日舞台挨拶に、大野以外の4人がサプライズで久々に公の場でそろって登壇し、ファンを喜ばせたのは記憶に新しい。

 そして、いまや「本職」とも呼べるキャスター業についての1年を振り返ってみよう。

「何といっても、オリンピックですよね。本来は2020年に嵐の全員で行う予定だった『NHK東京2020オリンピック・パラリンピック放送スペシャルナビゲーター』でしたが、コロナ禍でオリンピックが2021年に延期。6月23日に、櫻井と相葉がナビゲーターを務めると発表されました」

 7月23日~8月8日は『東京オリンピック』が、8月24日~9月5日には『東京パラリンピック』がそれぞれ開催。とりわけパラリンピック閉会式で行われた、2分超にわたるロングスピーチは、多くの視聴者をうならせた。

「なぜ私がパラアスリートに胸打たれるかというのを、10年ほど取材してきた、そしてドラマでも演じた車いすバスケのローポインターのお話を少しさせて頂きたいと思います。背筋と腹筋が使えないのになんであんなことできるの?なんで?すごい、そう思います。僕も本当にそう思います。

 ただ、そもそも、ケガをして、腹筋と背筋が使えなくなったときにまずするのは、トランスファーというリハビリ、血のにじむようなトレーニングです。腕の力だけで体をもちあげて、腕の力だけで車いすに乗れるようにします。これがまず、すさまじい努力が必要なんですね。なぜアスリートとしてすごいのか、どんなところがアスリートとしてすごいのか、というと、腹筋と背筋を使わず腕と大胸筋の力だけでおよそ40分間車いすを漕ぎ続ける、これは40分間ベンチプレスを上げ続けているかのような筋肉です。

 そこまでに至る努力を重ねたうえで、その上でのスーパープレーを見て、感動し、胸を打たれるのだと、個人的には思っています。そしてその努力を重ねて諦めないというアスリートの姿に胸を打たれました。これはパラのみならず、オリンピックのアスリートにも同じことが言えると思っています」

「昨年引退されたブラインドサッカーの落合(啓士)選手が『このピッチの中では自由に動けるんです』とおっしゃいました。車いすラグビーの倉橋(香衣)選手は『ここでは遠慮がないんでガンガンいけるんです』といいました。あぁそうか、だからあそこでイキイキしているんだ、というところからもう一歩踏み込んで、ピッチ以外でも自由に動ける社会というのはどうしたらなれるのか、っていうのを私たち一人一人は考えなければならないのかなと感じています。

 ただ一方で、5~6年前に(車いすテニスの)国枝(慎吾)選手に取材したときも有明コロシアムはまだ、ベニヤ板で作ったスロープでした。それは今回取材するとバリアフリーとしてきれいに整っていましたし、日本武道館のバリアフリー化も進んでいます。

 オリンピック、パラリンピックの選手村なんかも、オリンピックが終わったあとパラリンピック仕様にするのを、そもそもパラリンピック仕様にしていた、オリンピック大会前からパラリンピック仕様にしていた、これは柔道の穴井(隆将)さんが提案したと聞いていますけれども、そのようにすれば、よりみんなが住みやすい共生社会になるのではないかと、思います。パラリンピアン、障害者の方がそもそも住みやすい社会を作っておけば、それはすなわち、どんな方でも過ごしやすい街になっていくのかなと感じました」

 と熱く語り、「心に響いた」と話題になった。

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