■小山一家の生命の源

 龍太郎の現在の営業時間は月曜~木曜が18時から深夜2時、金・土曜が19時から深夜3時まで。かつては毎日19時から3時まで営業だった。だから、小山も幼少期は昼夜逆転の母とはすれ違いの生活を送っていた。しかし、そんな母の奮闘ぶりを小山は誇らしく思ったという。

 16年12月29日放映の『NEWSな2人SP』(TBS系)では「選択的シングルマザー」がテーマだったが、そこで小山は「僕は不幸だと思わなかった、(母がそれで)幸せだったから」と語り、「(母子家庭の息子は)お母さんの旦那さん化していくんだろうね」との名言も残した。ただ、実家が飲食店というより、小山一家の生命の源が龍太郎だった。

■きさくな人柄

 さて、オミクロンが拡大する一方の昨今、その元凶とも言われる米軍基地の様子を取材に座間キャンプ周辺を回った帰り、最寄りの小田急線相武台前駅近にある龍太郎に寄ってみた。すでに米兵・軍属には外出禁止令が出ており、彼らがよく立ち寄るという、元米海軍軍人が経営するバーは閉まっていた。ちょっと拍子抜けした感を抱え、日本人の常連客が大半を占める近隣のバーを訪れ、〆は龍太郎と決め打ちしたのだ。

 すでに22時近く、時間も時間なので、聖地巡りの女子らはいない。入れ替わり立ち替わり現れる常連とママ(小山母)とのやり取りがエグい。ママはかなり世間知に長けた人物のようで、きさくな人柄だった。取引先に招待されて「久しぶりに国技館で相撲を観た」という客とのかけ合いに、その片鱗が十分伺えた。曰く「枡席でちらほら見かける和装の女性の大半は、同伴の銀座のホステスでしょ」。自家製のジンジャーシロップを使ったモスコミュールを口にしていたぼくは、思わず吹き出してしまった。

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