ガソリン価格の高騰が、庶民の暮らしに大打撃を与えている。
「昨年1月に136.1円だったレギュラーガソリンの小売価格は、年末が近づくと169.0円まで上昇。その後も高値で推移しています。灯油価格も同様に推移していて、厳冬期に暖房代がかさみそうです」(経済誌記者)
その背景にあるのは、原油価格の高騰だ。経済アナリストの森永卓郎氏が言う。
「コロナ禍の景気対策として、各国政府は金融緩和、つまりお金をばらまいてきました。その投機マネーが資源などの先物取引に向かい、原油価格をつり上げているんです。いわば“マネーゲーム”です。石油は物流をはじめ、あらゆる産業に必要ですから、その影響は食料品にも及んでいます」
■新型コロナウイルスの収束が…
皮肉なことに、コロナ禍の収束が苦境に追い打ちをかけそうだという。
「世界経済は回復傾向にあり、米国の昨年11月の消費者物価指数は、前年同月比6.8%増と、39年ぶりの高水準でした。そのため、インフレを懸念する欧米の中央銀行は金利を上げて、物価を抑え込もうとしています」(前出の経済紙記者)
ところが、日本政府の動きは正反対だという。
「そもそも、日本経済は回復の流れに乗っていません。昨年7〜9月期の実質経済成長率は、東京五輪が開催されたにもかかわらず、マイナスでしたからね。加えて国債発行高が1000兆円を突破したため、利息の支払いを抑える必要があり、金利の引き上げはできません。今後は円を売ってドルを買う流れが加速しそうですね」(前同)