■“ナイツの土屋”のカラーが要所要所で出てきちゃう

 漫才の一方で、最近は俳優としてのお仕事もさせてもらいました。今回、出演させていただいた映画『浅草キッド』は、漫才コンビ「ツービート」が人気芸人になるまでを描いた物語。僕は、ビートたけしさんの相方、ビートきよしさんを演じています。

 きよし師匠は、漫才の立ち位置的に僕と同じツッコミ。やりやすいかなって思ったんですが、事前にお二人の漫才を聴いたら、そのテンポの速さにビックリ。あのツービートをスベらせるわけにはいきませんから、お二人の漫才を半年間、とにかく聴きまくって、体にしみ込ませましたね。

 ただ、たけしさん役の柳楽優弥さんと、実際にツービートとして漫才をしてみると、どうしても“ナイツの土屋”のカラーが要所要所で出てきちゃう(笑)。やっぱり20年間やって、培ってきたものが根強いんでしょうかね。完成した本編を観ましたが、やっぱりナイツっぽいなって思いました(笑)。

 とはいえ、僕はもともと、漫才を聴くのが大好き。そして、聴いているとやりたくなる性分なんです。だから今回みたいに他人様のネタを、それも堂々とやれたのは楽しかったですね。

 いつもはメガネをかけていますが、今回の映画では外しています。ふだんメガネを外していると、僕だと気づかれないことが多いんです。テレビに出始めて13年ぐらいたつんですけど、おかげで街で気づかれることもほとんどない。よく、みんなからは「煩わしくなくていいじゃん」って言われるんですけど、さすがに13年間も気づかれないとさびしいものがありますよ(笑)。

 これからの夢は……やっぱり漫才がうまくなりたいですよね。毎日のように舞台に立っていますが、同じネタでも、今日はちょっとうまくできたなって思うことがあります。結局、それの積み重ねなんですよね。

 もともと芸人に向いているタイプじゃないから、その分、自分の成長がよく分かる。そんなやりがいのあることって、なかなかないじゃないですか。僕はそれに出合えたので、漫才がうまくなることを、とにかく死ぬまで目指していきたい。それはずっと思っていることですね。

土屋伸之(つちや・のぶゆき)
1978年、東京都生まれ。2001年、塙宣之と漫才コンビ「ナイツ」を結成。内海桂子の弟子として活動し、2007年に落語芸術協会に入会。2008年からは3年連続で『M-1グランプリ』の決勝に進出する。現在、年間100回を超える舞台出演の他、ラジオレギュラー番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』『ザ・ラジオショー』(ともにニッポン放送)や『ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ)をはじめ、テレビやラジオなどでも活躍中。

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