■『真犯人フラグ』との大きな違い

 これは、望緒が授業中に、斜め前の席の雨宮の似顔絵を書いていて、中野は望緒の斜め後ろの席にいた描写があったため。雨宮の「僕も、ずっと今井さんを見てた」という言葉に繋がり、夏休み中に自宅の火事で両親を亡くした中野が、復讐のため雨宮に成りすましてると疑われているのだ。

 また、夫にDVを受けているらしい優美や、中野の手紙を持っているのに、捨てたと嘘をついた稜、望緒に協力的すぎる玲子も怪しいという声も。さらに、中野に対する記憶が望緒だけ曖昧なため、望緒が過去の事件に関わっていて、同級生が望緒のために嘘をついているという考察もあった。

 このように考察が盛り上がっているのは、容疑者が早い段階で雨宮、優美、稜、玲子の4人に絞られたためだろう。優美の夫の正も怪しいが、言動が異常すぎて考察のかく乱要員の可能性が高い。そうなると、状況が二転三転してもお互いの関係が分かりやすく、謎がとっ散らかることはないからだ。

 今期のミステリードラマでは、西島秀俊(50)主演の『真犯人フラグ』(日本テレビ系)が話題だが、怪しい登場人物が多すぎるうえに、毎回、不可解な謎が乱発。そのため、情報を整理しきれなくなった離脱者が続出している。同じミステリーだが、視聴者の考察が最後まで盛り上がるのは『愛しい嘘』になりそうだ。(ドラマライター/ヤマカワ)

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