■キレのいいキックで客席が大爆笑

「松本さんに目が行きがちですが、方正さんの指摘するように、浜田雅功(58)さんのツッコミの精度は神がかり的でした。冒頭から、キレキレでしたからね」

 そう話すのは、実際にダウンタウンの漫才を見た専門誌記者。

 冒頭、大歓声で迎えられて登場した2人は、センターマイクの前でフリートークを展開。

 松本の「浜田さんがよく言ってたじゃないですか。“漫才は金のためにやってるだけや”って」「お前が言うたんやないか」と軽く頭を叩いてひと笑い。

 これだけでは終わらず「お金持ちになったからやる気あるのかなと思って。どうなんかなと思って」という松本の発言に、浜田は「お前の方が金持ってるやん」と、非常にキレのいいキックを松本の尻にお見舞いしたのだ。

「蹴った瞬間、会場は爆笑と拍手に包まれました。蹴り一発でここまで盛り上がるのはさすがというほかないですね。

 また、2人がどんな漫才をやってたのかを思い出そうとするくだりで、客席から“誘拐ネタ!”と声が飛ぶと、浜田さんが“そうそう……誰やねんお前!”とすかさず反応し、さらに盛り上げました。そして、ここで“肩慣らし”と松本さんがクイズネタを始めたんですが、それがすごかったんです」

 松本の無茶ブリから浜田が出題と回答を兼ねる形となり「東京タワーの高さは?」と問題を出すも、松本は「なんぼなん?」と答えない。浜田は「俺が言って、俺が答えんの……?」と困惑。ひとしきりやりとしたあとに「333メーターとかそんなんです」と浜田が答えを言うと、これに対して松本は「けっこうキツイ」「キツイっていうか切ないっていうか……」と反応。

 そして松本は、最終的に「じゃあこれ、もう、いおうかな、浜田。そんなにはない」

 ますます困惑する浜田に、松本は「これ言うと終わっちゃうけど、恥かかしてしまうけど、ごめんな」

 と前置きし、自身が東京タワーのそばに2年半ぐらい住んでいて、毎日東京タワー観ていた、と告げたうえで、

「毎日見てた俺が言うに、そんなにはない」

 と、大爆笑を取っていた。

 まさにどう転がるのかわからない「東京タワーの高さ」問答から、いつの間にか松本の「野球はツーアウト“やから”」を浜田が「ツーアウト“から”やろ」が訂正しようとする問答に移り変わるも松本がボケ続け、ついに浜田が「お前が言い出しただけやろがぁ!」と激怒。続けて、

「アガってんちゃうねん。お前が何も、打ち合わせもしてくれへんかったし」

「“ベタなクイズ1個か2個考えておいて”って……“終わりぃ!?”って」

「で、お前ずっと思い付きで喋ってるやん!」

 と、浜田がほぼ打ち合わせなしでこのステージに立っている、という衝撃的なカミングアウトをした場面では、ひときわ大きな歓声が上がっていた。

 これに対して松本は「いいんじゃないべつに、そういう成人男性がいても」と受け流したのだが、

「これに対して浜田さんは、 “よっしゃ分かった。こいや”と、まるでブルース・リーのように、相手を挑発するように、松本さんを手招き。会場からは大爆笑が上がりました。この浜田さんの一言で、15分近くあったそれまでのトークが全部導入に転じたかのように、ガラッと空気が変わりましたね」

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