■前田会長のコメントには「NHK上層部の姿勢が表れている」

 さらに、前田会長の「沖縄の綺麗な風景がきちんと映っていて非常によいドラマだったと思います」というコメントについて、田幸氏は「NHK上層部の『ちむどんどん』への姿勢が表れているのではないか」と話す。

「この前田会長のコメントを読むと、NHK上層部としては沖縄について”綺麗な風景でも映して明るいドラマにすれば良い”と考えていたのでは、と勘繰ってしまいます。さらには、上層部としては”沖縄について詳しく描くことは許さない”という意図があったのではないかとも想像できる。

 現在、視聴者のNHKへの報道の不信感が高まっていますよね。受信料は払わないとSNSで宣言したり、テレビを捨てたりする人もいます。そんな状況下で、沖縄にまつわるセンシティブなテーマを雑に扱ったように見えるのはいかがなものか。

 考えすぎ、妄想と言われるでしょうが、どうしても菅義偉元首相がNHKの局員を左遷させた件が様々な人に大きく影響を与えていて、それが『ちむどんどん』にも間接的に影響したのではないかと考えてしまいます」

 2021年2月、『週刊文春』(文藝春秋)がNHKの有馬嘉男キャスター(57)の『ニュースウォッチ9』降板について報じた。同誌では、2020年10月26日の臨時国会開始日に菅前首相が『ニュースウォッチ9』に生出演した際、有馬キャスターが菅前首相に質問を重ねていたこと、そして菅前首相は「明らかにムッとした様子で“説明できることと、できないことがある”と述べた」と報じていた。

 さらに、そのやり取りを受けて山田真貴子元内閣広報官がNHKの原聖樹政治部長に対して抗議したという話がNHK局内で広まった、とも同誌は報じていた。

「“菅前首相の機嫌を損ねたことで有馬キャスターが降板になったのではないか”という話が広まったならば、NHK局内では直接指示がなかったとしても、結果として忖度が働くでしょう。

 上層部に文句を言われないギリギリのラインで、政治批判も含みうる沖縄へのメッセージを含むドラマを作らなければならなかったのではないか、と考えてしまいます。実際、『ちむどんどん』の最初の謳い文句である”沖縄返還50周年記念作品”という言葉と、ドラマの仕上がりには不一致感がありましたからね」

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