死に至る病はある日突然、 わが身に降りかってくる。 誰もが混乱する事態に対し 準備しておくべきこととは!?

ちょっと具合が悪いからと久々に病院に行ったら、「精密検査が必要です」と医者から宣告を受け、よくよく調べたら"がん"だった……日本人の死因のトップであり、2人に1人が発症する恐怖の病、がん。

医療技術が発達した近年において、必ずしも不治の病とは言えなくなったが、医者から宣告を受けたときのショックは計り知れない。そこで本誌は、がんと宣告された際の"完全マニュアル"を徹底取材。専門家の方々からアドバイスをもらった。

「がん宣告を受けたときに、まず最初にするべきことは、自分がお世話になる病院が"がん診療連携拠点病院"に指定されているかどうか確認することです」

こう語るのは、医療ジャーナリストの牧潤二氏だ。

「がん治療を自然治癒に任せるとか、民間療法に頼るとかなら別ですが、厚労省は質の高いがん医療を受けられる病院を指定しており、全国に397施設(平成25年4月時点)あります。そのほとんどが大きな公立病院や大学病院ですが、都市部の場合、大学病院でも指定外の場合もあるので注意が必要です」(前同)

また、がん治療の場合、医者から積極的に手術を勧められるケースが多い。

「患者にとっては治療の場でも病院側から見れば、貴重なデータ収集と見る向きもあり、医療現場では積極的に手術をしたがる傾向がある」(全国紙社会部記者)

こうした状況もあるだけに、「胃を全摘出しましょう」などと言われても、おいそれと信用できないが、がん診療連携拠点病院では適切な治療が受けられることが多い。それでも不安なら、主治医以外に意見を求めるセカンド・オピニオンを受けるべきだが、牧氏はその前に、主治医ないし看護師などと納得いくまで話し合うことを勧める。

「この4月から医師と看護師、薬剤師らと治療方針についてジックリ話し合える環境が整ったんです。たとえば、末期がんの場合は痛みの緩和について相談することが可能になりました」

こうした相談に乗ることができるのは、実務経験5年以上、がん化学療法、がん放射線療法など専門性の高い講義を半年受けた認定を持った看護師である。

「誤解を恐れずに言うならば、医者も商売。これまでも丁寧に説明する医師はいましたが、サービスの域を出なかったとも言えます。こうした環境の変化で、真剣に相談すれば納得のいく答えが得られる確率は高まりましたね」(前同)

また、がんを患った場合、発症した場所によっても、初期行動が変わってくる。近年、「前立腺がん」と告げられる人が急増しているのを、ご存じだろうか。すでに男性では肺がん、胃がんに次ぎ3位。いずれは胃がんも抜いて2位になるという。

食事の欧米化が原因で、多く発症するようになったからだとみられる。6月24日に、『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)を上梓し、大きな話題を呼んでいる医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこうアドバイスする。

「もし、早期の前立腺がんになって、"念のため前立腺を摘出しましょう"と言われた場合、考えたほうがいいと思います。米放射線腫瘍学会は、前立腺がんの場合、ほとんど命に関わらない鉛筆の芯ほどの大きさの段階で見つかる事例が多く、手術の必要がない患者が少なくないと結論づけています。しかも、前立腺がんの手術代は3割負担でも30万円ほどかかりますし、手術の経過次第では勃起不全になる恐れもあります」

生涯現役にこだわる人からすれば、それこそ"死刑宣告"に等しい。

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