がん、心臓病、脳卒中――。年齢とともに増していく肉体への不安。だが、わが身の声に耳を傾ければ、病は防げる!

厚生労働省の年齢階級別死因順位統計によれば、45~79歳の日本人男性の「死因ワースト3」は、がん、心疾患(心臓病)、脳血管疾患(脳卒中)。なかでも圧倒的に多いのが、がんで40%前後、それ以下は心疾患13%前後、脳卒中9%前後と続く(自殺を除く)。
今回、本誌は、この「三大病」により引き起こされると疑われる"身体のSOSサイン"について、徹底調査した。

まずは脳卒中。
なかでも、脳の血管が詰まって起きる脳梗塞、破れて起きる脳出血は発症頻度が高く、注意が必要だ。脳梗塞の一種である脳血栓のSOSサインは、舌に表れることがある。杏林大学医学部名誉教授で、『身体が知らせる危険信号』(日本テレビ放送網刊)の著書もある石川恭三氏(医学博士)は、こう語る。
「舌を出したとき、左右どちらかに曲がってしまう場合は要注意です。また、鼻から口にかけて溝(人中(にんちゅう))が片側だけ浅くなる、またはなくなる場合もあります。脳血栓のため、舌を動かす神経の領域あたりの部位の血液が少なくなったり、途絶えてしまったりすると、舌が曲がってしまう。鼻下の溝の変化も、同じ領域の血流の問題から生じます」

一方、脳出血の一種である、くも膜下出血の主因の脳動脈瘤(りゅう)にも"危険信号"があった。
医療ジャーナリストで、『危険な病気の意外な予兆69』(宝島社刊)の著書もある市川純子氏はこう語る。
「高齢の会計士さんの例ですが、ある日、片方の上まぶたが腫れて重く下がっているように感じたと言います。文字も見づらく、老化のせいかなと思って眼科に行ったが、問題は見つからなかった。しかし頭痛もあったため、眼科医は脳外科を紹介し、そちらで脳動脈瘤と判明したんです」

まれなケースだが、脳動脈瘤が目の神経を圧迫し、片方のまぶたが下がったためだったそうだ。

続いて、心臓病について。
前出の石川氏は、「心臓の病気は足にSOSサインが出やすい」という。
「立っていると、重たいもの(血液など)は下に沈んでいきますよね。心臓の動きが悪くなると、ポンプとしての働きがうまくいかなくなります。そうすると、どうしても血液が下のほうに滞りがちで、足にむくみが出てしまうことがあるんです。加えて、息切れを感じるようでしたら、医師にかかることをお勧めします」

この他にも、風邪でもないのに咳やたんがやたら出たり、夜中のトイレ回数が増えたりしたら警戒してほしい。心臓の動きが悪くなり、身体に水分がたまりやすくなったことで起きている可能性があるからだ。

また、心臓病の一種、心不全の場合、舌の裏側を走る静脈(青い血管)に、その兆候が出ることも。
「なんらかの理由で心臓の働きが弱まり、血液が体の隅々まで送られない場合、静脈にかかる圧力が高まり、結果、血管が膨らんでしまうためです」(石川氏)

すでに述べた脳血栓同様、舌には重大病のサインが現れやすいことを覚えておいてほしい。

同じく心臓病の一つで、心筋が酸欠不足に陥る「狭心症」の場合、痛みが意外なところに出ることがあるという。

●左の肩が痛くなる。あるいは耳、歯が痛くなる
●加えて心臓に圧迫感や胸やけもある

「これらからは、狭心症の可能性が疑われます。狭心症の場合、広くさまざまな箇所に痛みが出るので、これらが複数該当するならば、注意が必要です」(石川氏)

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